ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所

UNIVAC米沢担当OB会の2日目のコースは、『ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所』の見学。
非常に楽しみにしていたコースだ。

なんせ、全員、飲んべ集団。マッサンで有名になったニッカウヰスキーはどうしてもチェックしておきたい場所だ。

僕に関しては、以前、某会社の社員旅行で余市に行く予定だったのに、札幌競馬場に行ってしまい、そのまま、小樽で飲んでしまったという悲しい過去がある。
余市は将来行ける可能は低いだろうから、宮城峡は、絶対行きたいと思っていた。でも、なかなか機会がないと来れない場所だ。少し、興奮している。

見学用駐車場に案内されて、とにかく、広い。駐車場に着くまでも、この道でいいんだろうかと思うほど、入口からは遠かった。
赤いレンガ造りが、まるで、スコットランドに来ているような気がしてしまう。
しかも、今日はあいにくの雨。傘を持つほどではないが、小雨がますます、その雰囲気をかもしだす。

見学の案内所に入ると、まず、びっくりするほど大きい、ポットスチルという蒸留器。
案内の文章を見ないとこれがなんなのかわからないが、ウィスキーは蒸留酒。この蒸留器を通すらしいことはこの時点でわかった。
この雰囲気だけで、僕は、もう感激しているのだ。

さあ、見学開始。
なんと、しっかりと案内してくれる人がついてくれる。

ここ、宮城峡が新川、広瀬川の清流があり、その水のよさ、低温、多湿、風土こそが、竹鶴政孝がここに蒸留所を作るきっかけだった話を聞いて、見学スタート。

まずは、キルン塔。
大麦麦芽を乾燥させるためのものらしいが、今は使われていないそうな。
ただ、工場のシンボル的な建物であるらしい。
確かに、案内には、必ず出てくる建物だ。

先のとんがった建物のキルン塔。
遠くから見たり、全景で中心に見える建物だ。

仕込塔へ進む。

仕込棟の中は、近代的な仕込樽があるような感じ。ここで、自然の恵みである、水が使われて、それがウイスキーの良しあしに大変な影響があるらしい。よい水は、ウィスキーを作る上でも大事なファクタなのだ。

蒸留棟に入る。
こここそが、蒸留所と呼ばれる中心だ。

最初に見た、あの大きな湯沸器のような機械がならんでいる。
上部には、みんなしめ縄が飾られている。
竹鶴政孝からの伝統だそうで、ここがウヰスキーの聖地なのであろう。なんとなく、竹鶴政孝の人を感じてしまった。
これ銅製のSTILLを作ってくれる人が、竹鶴政孝も、苦労した話を、マッサン好きの友人が教えてくれた。

2度の蒸留を繰り返し、出来上がったモルトウィスキーは、透明だそうで、それが、樽に詰められて、何年も置いてあの琥珀色に変わるのだそうだ。
出来たばかりのウィスキーは無色透明なんだ。知らなかった。日本酒と同じで、原酒で飲めるのかと思っていた。

蒸留棟を出ると、貯蔵庫までは少し歩いていく。そこに続くこの景色はなんなんだろう。
自然の中に、レンガ色の工場が立ち並ぶ。
明らかに、自然と調和を考えているんだろうか。すばらしい光景だ。

自然と調和した、この空間は、いったい、どうして作られてのだろう。
ただ、感心していたが、竹鶴政孝が、ここを作る時に自然をなるべく壊さないように工場をつくる事を指示したという。勾配も整地してしまえばいいものを、勾配のままで、建物の高さまで調整したらしい。
ウヰスキーは自然からの贈り物だからなのだそうだ。

きっと、この光景は、竹鶴政孝が見てきた、スコットランドそのものなんだろう。
まるで、日本にいる気がしない。日本の悪徳不動産屋が山を切り開いて作った施設とは、まったく違う光景を見てる。

自然をいかに大事にしてきたか、この光景を見た時、竹鶴政孝という人のすばらしさを見たような気がした。

貯蔵庫。レンガ色がきれいだ。ここは、見学用の貯蔵庫らしい。

蒸留器から、出てきた透明のモルトウヰスキーは、ここで、何十年と寝かされて琥珀色に変わっていく。
この樽の中で、モルトウィスキーが育っていく。
3年、5年、12年、25年とウヰスキーは、ここで育っていく。

「ここは見学用だから、空調もないんですよね。」と聞いてみると、
案内をしてくれた女性は、
「空調は本物の貯蔵庫にもありません。ここは、見学用だから、床がコンクリートですけど、本物の貯蔵庫は、土間で、そこからの湿気が、樽を守り、ウィスキーを育てるんです。」
なんと、空調で管理されているものではないのだという。日本酒の吟醸酒、温度管理は確か、コンピュータ制御されていた。

樽を守る湿気と温度。そして、水。すべて、自然からの贈り物でウィスキーは生まれている。
だからこそ、竹鶴政孝は、自然を壊してはいけない。徹底した自然を愛することでこの工場を作ったのだ。
ここから生まれるモルトウィスキーは、自然そのものの恵みなのだ。

樽ごとに、個性の違うモルトウィスキーは、ブレンダーによってブレンドされて、出荷される。
余市と宮城峡で、性格の異なるモルトウィスキーをブレンドして、まろやかなウイスキーが生まれる。
ここで、試飲をするんだけど、僕は、車の運転をするので、ソフトドリンク。
でも、香だけは、しっかりと確認できるように、香用のグラスも準備されていた。
香は、まろやかで、甘い香りがするような気がする。

もちろん、いろんなウィスキーを飲めるスタンドバーみたいなのもある。
素敵なコーナーだ。
車でなければ、カウンターの女性に説明を聴きながら、きっと、僕は飲みつぶれているかもしれない。

ショップには、ここでしか買えない、色々なグッツも多く、財布のひもは緩んでしまう。

我々のリーダーは、さすがで、「先の震災で、被害は大丈夫でしたか?」と気になっていた質問をしてくれた。
ここは、かなり固い岩盤の上にあるそうで、建物も被害はなかったそうで、樽も一つも倒れたり、壊れたりしなかったそうだ。
ただ、電気は止まってしまったので、その間に仕込んだものはすべて捨てることになったという話だった。

竹鶴政孝が選んだ、この場所は、水、樽を守る湿気、気温、すべてがそろった場所だった。
そして、その恵みをもらって、ウイスキーが生まれる。

偉大な会社は、まったく、自然にも人間にも向かう姿勢が違う。

この見学。ウイスキーの試飲もできて、なんと無料。当然、俺はもう、サントリーなんか飲まない。ウヰスキーは、ニッカだと思ってしまうのだ。

家に帰ってきて、ピュアモルトを一本。

今日の光景を思い出しながら、飲んでみる。
樽の香りがする。